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2-6 告白(2)

 20,2016 11:40



三つの通路にかけられていた魔法は解かれていた。
一番初めにニックが言った道、
つまり最後にセンリが進んだ左の道が、先へと繋がる正解の道だったらしい。
「センリさん、オネットさんに何かあったんですか・・・?」
泣いている私をセンリが見つけ、一度元の分岐点に戻りニックと合流した。
心配そうに見つめてくるセンリとニックの視線に、また耐えきれなくなって涙が零れた。
止めようとしても次々に溢れてくる。
今日は早めに休むことになった。
「オネット」
「・・・・・・」
私は、優しく声をかけてくれるセンリの方を向けなかった。
今口を開いたら、恐ろしい言葉が自分の中から飛び出してきそうで怖かった。
「センリさん、とりあえずぼくが食糧を探してきますから・・・オネットさんをお願いします」
ニックが何度も私を振り返りながら、遠くへと歩いていくのが見えた。
私は俯く。
ああ、また涙が落ちていく。強くなりたいと願っているのに。
「オネット」
再び優しい声がしたと思った、体が温かくなった。
センリが私の体を後ろから抱きしめていた。
「・・・っ」
「オネット、何があった?」
耳元で低い声でセンリは言う。
「言わないと分からない。お前に何があったか理解もしてやれない。
お前が抱えているそれは一人でどうにかできるものなのか?」
私は力任せに顔を横に振った。
自分ではどうにもできない。でも、言っていいかさえ分からない。
違うかもしれない、だけど絶対に違うと言いきれない自分に絶望していた。
言えない。
私はセンリの腕から逃れようと、強く彼の胸板を押し返した。
そうすれば見える彼の驚いた表情。困らせたいわけじゃないのに。
「ごめんなさい・・・」
私は顔を手で覆った。
嗚咽が止まらない。
疑いたくない、信じたい。
だけど心の何処かで疑っている自分がいるのもまた事実だった。
苦しいよ。
「・・・センリ・・・っ」
思わず彼の名前を呼べば、顔を隠していた腕をぎゅっと掴まれた。
「まさか」
そして無理やり両手を広げさせられ、彼と目が合う。
緑の瞳は少し寂しそうに私を見ていた。
「お前、もしかして気づいたのか・・・?」
その言葉に私は愕然として、彼を見返した。
やはりあれは本当のことなの?
センリは腕を掴むと私を再び引き寄せ、さっきよりも強く強く抱きしめた。
「・・・      、ごめん」
その腕の中はやはり暖かい。


◇ ◇ ◇



彼女のためなら何でもしようと思った。
ずっと幼い頃から彼女だけを見てきた。
とても優しい心、とても真直ぐな心、
だけどそこにはいつも影が差していて、
澄んだ心は汚れたものに触れるとすぐに黒く染まった。
とても痛々しかった。
とにかく彼女を救いたかった、守りたかった、
彼女の笑顔が戻るのならば何でもしてやろうと思った。
そしてその思いの通り、彼女のために奪われたものもあった。
それが自分にとっては大切なものであった、・・・・だとしても!
彼女の痛みに比べれば何てことはない。
今も悲しみの中に彼女はいる。
どうか泣かないで。

― が、彼女を殺してあげるから。




◇ ◇ ◇


そして夜が来る。
色々な感情がぐるぐると頭の中を渦巻いて、私を責めていた。
センリは私から少し離れたところで、夜食を食べていた。
私は喉に何も通る気がせず、初めは何も口にしたくないと拒んだが、
ニックから「ぼくのお手製のスープですよ」と言われ、断ることができずに少しずつ食べた。
熱すぎずぬるすぎず、ちょうどいい温度のそれはとても優しい味がした。
そしてしばらくして、片づけを終わってあと寝るだけになると私は空を見上げた。
空にはうっすらと雲のような影が見え、そして月も星も隠れて見えなかった。
「ニック、火が小さくなってきた。あと数本、枝を持ってきてくれ」
「はーい、分かりました」
ニックが再び森の奥へと走っていくと、ぼんやりとしている私の傍にセンリが近づいてきた。
腕を掴まれて思わず体がびくんと震えた。
しかしそれにセンリは気づいているのかいないのか、何も言わずに私をそっと横に寝かせた。
優しく頭の上に手を乗せられる。
「・・・おやすみ、オネット」
そうセンリは言うと、小さく何かを呟いた。
温かい何かに包まれ、私はゆっくり瞬きする。
やがてセンリは私から手を離し、私と少し間を開けて寝転んだ。
私に背中を向けている彼がどんな表情を浮かべているかは分からない。
彼はもう何も語らなかった。
「ただいま戻りましたー・・・!って人に物を頼んで寝ちゃったんですか!ずるい!」
ニックは戻ってくると、持っていた枝を火の中に無造作に放り込んだ。
寝転んだまま私はニックに声をかける。
「ありがとう、ニック」
「あ。起きてたんですね、これでいいですかー?」
嬉しそうにニックが私の顔を覗き込んで言った。私は頷いて返すと焚火を見つめる。
火は上へ上へと登っていた。
それを見ながら私は思った。
こうして3人で過ごすのは今日で最後かもしれないと。
「・・・っ」
胸が痛んで眠れないかもしれない。
そう思っていたが、少しずつ残酷にも睡魔が襲ってきて目を閉じた。

とても不自然な眠気だった。

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